「割り切り」と「愛人」

 出会い系サイトを利用する目的として一番多いのは、その場限りの「割り切り」の出会いであろう。サイト内ではしばしば「今スグ」とか「すぐ会いたい」と言われる。露骨に愛人募集という人は滅多にいない。
 しかし、愛人を求めていたとしても、出会い系サイトにアクセスするときはそんなものだろうと思う。何しろ相手は話したことも見たこともない人なわけで、そんな相手といきなり「愛人になってください」と言われてもお互いに不安が募るばかりだ。ただ性欲だけが解消できればいいわけではないのだから。
 だから、わたしもその流儀にのっとって、その場限りの割り切った関係での出会いを何度か求めた。掲示板にそれとなく書き込みをしては、返事が来るのを待つ。女性の掲示板はこまめに見ていたが、メールを送ることはほとんどしなかった。
 しばらくして分かったのは、援デリ、援助デリヘルの存在だった。出会い系で男性客をひっかけて、女の子を割り振って待ち合わせ場所へ向かわせ、ことを済ませていくばくかのお金を受け取るのである。当然風俗業としての許可などあるわけがない。デリヘルは電話で客が女の子を頼むわけだが、援デリは相手がそういう女の子とは知らないし、分からない場合も多い。どこで会うか、条件はいくらか、など、客の回転が重要なせいだと思うが話はポンポンと進む。性欲を解消したい、もっと率直にセックスがしたいだけなら、話の早い相手の方がいいかもしれない。
 しかし、会って話もろくにしないままホテルに直行して、終わったらバイバイというのはわたしの欲しているものではなかった。もう少し、なんというか、お互いに温め合えるような関係を求めているのだ。そういう相手も必ずいる、という変な確信を持ってサイトへのアクセスは続けた。

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